「書」のさまざまな側面と親しみ方と書道用品

書写(習字)としての書

現代の「てならい」
 江戸時代の「てならい」が伝統として今も続いていると言えるのが、習い事や学校教育で行われている「書写(習字)」です。
(ちなみに、学校教育における正式な教科名は「書写」で、「習字」は終戦直後頃まで正式教科名でしたが、今は違います。
 でも、「習字」の方が普通と感じる人も多いでしょうね。)
 書写の目的は、あくまでも「文字を正しく整えて書くこと」とされます。
 つまり芸術的表現を目的とするのではなく、ほかの人に読んでもらえる実用性に主眼を置いた書の習練ということです。
 江戸時代の「てならい」そのものですね。
 
書写の有益さ ――特にお子さんにおすすめ
 そうして「実用性」と言い切ってしまうとなんだかつまらないもののように思えてきますが、
 書写に取り組むことはそれだけにとどまらない価値を生み出します。
 まず、「きれいな字は一生の宝」とよく言われます。
 たしかに今は電子メールやスマホアプリでのやりとりが全盛の時代で、かつての「読み・書き・そろばん」は「リテラシー・ワープロソフト・表計算ソフト」に
 とって代わられています。
 しかし、手書きで文字を書くシチュエーションというのは、依然として頻々とあるものです。
 しかもそのシチュエーションたるや、往々にして「肝心な局面」なのです。
 大切な人、恩のある人、思いを伝えたい人に向けた、ここぞという時のメッセージを書く、そういう局面です。
 そういう局面で、きれいで整った文字を書けるということは、かけがえのない価値を持ちます。
 逆にいうと、乱雑な印象の字しか書けない人は、少し人生を損しています(「味のある字」ならば、また別の価値を持つでしょうが)。
 それから、姿勢を正し、気持ちを鎮めて書写に取り組むことは、物事に集中する力を高め、安らかで落ち着いた気持ちを保つ心を育てます。
 これもまた、「一生の宝」といえるでしょう。
 「きれいな字が書けること」、そして「集中力と落ち着いた心」。これらはぜひ、小さいうちからお子さんに身につけさせたいところです。
 小学校では3年生からカリキュラムに書写が入ってきますが、あまり時間数は多くありません。
 プラスアルファで、書写の習い事をさせてみてはいかがでしょうか。